江守成子さん

一人ひとりの物語が
生まれる場所へ

医療法人社団ナラティブホーム副理事長
江守成子さん

ナラティブホームの誕生は、勉強会が始まり

かつての勤務先に、佐藤先生が副院長としていらしたことが最初の出会いです。浅野さんと同じですね。ただ、そこでは患者さんと深く関わることが難しかったんです。先生も「もっとゆっくり診たい」と言われていたので、それから先生の話を何度も聞くようになりました。「ものがたりの街」構想には賛同しましたが、制度など分からないことがいろいろあったので、週に1回、先生が宿直当番の時に、みんなの勤務が終わってから勉強会をするようになったんです。そのうちご家族などいろいろな方が参加されるようになり、私たちの力になりたいと言われる方も出てきて、どんどん話が進み、「ナラティブホーム」が誕生しました。

24時間365日、訪問看護で手厚いケアを

これまでで一番思い出深いのは、「ナラティブホーム」を立ち上げた時のことです。訪問看護ステーションを機能させるために、大慌てで訪問看護について勉強をしました。請求の計算など分からないことだらけで失敗もありましたが、患者さんとゆっくり関わることができた分、その時の患者さんのことはすごく印象に残っています。訪問看護ステーションは24時間365日対応で、ご家族から電話が入り次第、一人でご自宅に行って採血や点滴などをします。先生が必要な段階になったら訪問診療に移りますが、この場合は先生の補佐役として採血や血圧などの準備をしています。

地域の皆さんに愛される場所へ

これからは、「ものがたり倶楽部ハウス」と山王町のデイサービスとちゅーりっぷの郷保健室をメインに、訪問診療の看護師としての業務も継続していきます。佐藤先生は、ものがたりの街を「プラットホーム」に例えられていますが、その中心が倶楽部ハウスだと思っています。そこで地域の皆さんの困りごとなどをお聞きして、診療や看護あるいは介護に結びつけていくことが、私たちの役割。ランチやコーヒーなどでお腹を満たすと心が落ち着くので、いろいろなお話を打ち明けてもらえると嬉しいですね。また、入居者の方にとっては、人とのつながりが深まる場所になればと思っています。一人ひとりの物語が生まれる場所に携われることに心から感謝しています。