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《私の医療・介護物語》その他

25.03.07

《私の医療・介護物語》第二話-2 佐藤伸彦

《私の医療・介護物語》 第二話-1
標題:亡くなった父に導かれ
   人間を見つめる場創設へ

 

人は死ぬと使者(死者)として生者に心に生まれる

私が中学生の時に一番読んだのは山本周五郎という作家です。
直木賞に選ばれながらも、これは読者がもらうもので私がもらうものではない、と受賞を
辞退した気骨の作家です。「樅ノ木は残った」「さぶ」「日本婦道記」「赤ひげ診療譚」
など有名な作品は多いので皆さんもご存知でしょう。中高、大学、50代と3回ほどほぼ全
部を繰り返し読み返しています。
作品の中に流れているのは、人間のどうしようもない「弱さ」と「哀しみ」だと感じま
す。
「人間は哀しいもんだ」という言葉が此処かしこに出てきます。それをずっと抱えながら
私は医師になっていくわけですが、たくさんの死に逝く人たちを診て、人間はみんな、し
たたかに生きていて、一筋縄ではいかない生き物だと思います。
使者としての父の教えに導かれ、病気だけではなく、人間を見つめる場・空間であるナ

ラティブホームが始まったのです。