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いかるぎ薬局日記その他

23.04.05

薬の話アラカルト 第1回『くすりとリスク』

薬の話アラカルト(第1回)

 

2023年4月3日(月)

2022年度の講話シリーズ「くすりと食事のいい話」を終了し、2023年度は「薬の話アラカルト」と改め、薬にまつわる様々な話をさせていただきたいと思います。担当講師もときどき入れ替わる予定です。

今回の担当は、いかるぎ薬局 金本薬剤師です。

 

今年度の第1回は『くすりとリスク』の話でした。

薬に関するリスクには、薬そのものによるリスクと薬を扱う人によるリスクがあります。今回は、薬自体のリスクについてのお話です。

薬は両刃の刃(もろはのやいば)と昔から言われているように効果がある反面、必ず副作用もあります。

望んでいる効果が主作用ならば、副作用は一般に有害作用と認識されていますが、厳密に言うとすべてが有害ではなく、副作用は使い方によっては望む作用(効果)に変身することがあります。

 

さて、薬の作用はそれを使用する人の気持ちに左右されることがあります。というのは、鎮痛薬の偽薬(例えばデンプンの入ったカプセル剤)を服用しても約30%の人に鎮痛効果が現れます。これをプラセボ(偽薬)効果と呼んでいます。また、これとは逆に偽薬を飲んだ時に実薬を飲んだ時と同じような胃痛や下痢などの有害作用が現れることがあり、これをノセボ(反偽薬)効果と呼んでいます。このように薬の効果や副作用の一部は、服用する人の気持ちによって現れることがあります。

 

私たちは、後発医薬品が高価な先発医薬品に劣るのではないかという先入観を持たずに使用することが期待した効果を得る上で大切です。そして、後発医薬品の品質を保証する努力をし続けることが製薬メーカーには求められます。

 

主作用と副作用について、解熱鎮痛薬としてよく知られる「アスピリン」を例にとって説明します。

私たちが知っているアスピリンの主作用は、解熱・鎮痛効果です。副作用の一つである血小板凝集抑制(血液を固まりにくくする)作用は、傷の出血が止まりにくくなるという面では有害かもしれませんが、脳梗塞や心筋梗塞を予防するという面から見ると期待すべき良い作用と考えることができます。しかし、胃潰瘍形成、喘息発作誘発、ライ症候群発症などの副作用は有害作用そのもので、発症を未然に防ぐことが大切です。

 

さらに身近な薬、アルコール(お酒)について見てみましょう。

少量のアルコールが体内に入った場合は、気持ちをリラックスさせる良い作用が現れますが、飲み過ぎて高濃度になると確実に肝臓や脳細胞にとっての毒になります。この副作用を逆手にとった使い方が疼痛緩和のための神経ブロックや殺がん細胞治療です。ということで、副作用も悪いことばかりではないということをお分かりいただけましたでしょうか。

 

薬の効果を信じて使用することが大切ですが、必ず副作用があるということも忘れず、その副作用にどう対処したらよいかを知っておくことが必要です。

 

糖尿病の薬であるメトホルミンという薬の副作用には、下記のような重大な副作用があります。

ここに書かれた「乳酸アシドーシス」、「肝機能障害、黄疸」、「横紋筋融解症」という言葉は、私たちが薬局で受け取る薬の説明用紙にはふつう書かれていませんし、めったに出ない副作用です。ですが、これらの副作用の初期症状として書かれている症状(体調変化)が起きた場合には、できるだけ早く受診することを忘れないでください。

 

ポイント! 

1.薬には主作用(期待する効果)と副作用があり、副作用は有害作用だけではない。

2.薬は効くと信じ、自己判断でやめない。

3.重大な副作用の初期症状を知り、症状に気づいたらすぐに受診する。