いかるぎ薬局日記その他
25.07.16
いかるぎ薬局さんのミニ講座 令和7年(2)「骨粗しょう症について ~知る、防ぐ、治療する~」
2025年7月7日(月)
旧古民家診療所では、月に一度、いかるぎ薬局の薬剤師さんや看護師さんをお迎えして「ミニ講座」を開催しています。
今回の講師は、薬剤師の姉崎さん。
とても暑い一日でしたが、骨粗しょう症のお薬を服用されている方も多く、皆さん真剣な表情で耳を傾けておられました。
講座の後には、たくさんのご質問も寄せられ、参加者の関心の高さがうかがえる、充実した時間となりました。
地域の皆さまの健康づくりに、これからもお役に立てるよう続けてまいります。
「骨粗しょう症について ~知る、防ぐ、治療する~」
夏の強い日差しに照らされて、毎日うだるような暑さの日々ですが、
この日差しも骨にとっては喜ばしい側面もあります(浴びすぎには注意ですが)。
今回は「骨粗しょう症について ~知る、防ぐ、治療する~」というタイトルで
いかるぎ薬局の薬剤師 姉崎が担当いたしました。
骨は体を支えたり、内臓を守ったり、体の中で重要な働きをしています。
骨粗しょう症は、骨の量(骨量)が減って弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
骨折により日常生活を自分で行うことが難しくなり、他者の助けが必要になる
こともあります。
では、骨粗しょう症はどのようにして生じるのでしょうか?
骨は1年間で約20%程度が作り替えられていると言われています。
破骨細胞が骨を壊し(これを骨吸収といいます。)、骨芽細胞が骨を作る(これを
骨形成といいます。)ことにより作り替えられていくのです。
骨粗しょう症は様々な理由により、骨吸収が骨形成を上回ることで生じます。
加齢とともに骨吸収が骨形成を上回ることが知られています。
また運動は骨に刺激を与え、骨形成を助けることが分かっています。
お酒やたばこなどの習慣は骨に必要はカルシウムの吸収を妨げます。
カルシウムやビタミンD,ビタミンK など骨の作り替えに必要な栄養素が
不足することでも骨粗しょう症は起こりやすくなります。
また女性ホルモンは破骨細胞の働きを抑えることが分かっています。
閉経による女性ホルモンの低下は骨密度の急激な減少に繋がります。
そのため骨粗しょう症は男性に比べ、女性に生じやすい病気です。
(男性の2~3倍と言われています。)
骨粗しょう症の予防には「栄養」、「運動」、「日光浴」が重要と言われています。
栄養においては特に、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKが重要です。
ただし摂りすぎには注意しましょう。
運動による骨への刺激は骨の形成を助けます。
転倒に注意し、無理なく安全に行いましょう。
日光浴は皮膚からビタミンDを作るのに必要です。
食事からの摂取では不十分なことが多く、皮膚からビタミンDを作ることにより
必要量が確保できます。
ただし、夏の強い日差しを長く浴びるのは危険ですので木陰などで
涼みながら行うようにしましょう。
また現在の骨密度を把握することも重要です。
整形外科や、薬剤師による健康フェアなどで測定できることがあるので、
機会があれば測ってみましょう。
骨粗しょう症と診断された場合、生活習慣の見直しと共に、適切な薬を適切に
使用していくことが必要になります。
骨粗しょう症の薬は大まかにわけて、必要な成分を補充するもの、
破骨細胞の働きを抑えるもの、骨芽細胞の働きを助けるものに分かれます。
それぞれのお薬にそれぞれ注意する点がありますので
普段から自分がどのような薬を使っているか、薬剤師にぜひ聞いてみてください。
実は骨粗しょう症のお薬は、一年くらいで半分弱の方が医師の指示通りに
お薬を飲めず、5年以内に半分くらいの方が治療から脱落してしまうと
言われています。
大きな理由としては、骨粗しょう症の初期には痛みなどもなく、症状がないため
薬を使う必要性を感じなかったり、使用する日や時間が決まっている薬に関しては
忙しかったり忘れてしまったりしてそのままに使用できなかったりすることがあります。
そのため、症状が進み、骨折などのリスクが上がってしまうのです。
これらの疑問や不都合があった際は、ぜひ身近な薬剤師に相談してみてください。
それぞれの疑問や生活スタイルに合わせて適切にお薬が使用できるように、一緒に
考えさせていただきます。
(文責:いかるぎ薬局 姉崎)